童貞の妄想(コンビニ飯編)
最近はコンビニ飯ばかりを食べている。
こんな生活が始まったのはコロナのせいだ。と言いたいが、本当のところ私には元から予定がなかった。
朝の10時に起きて、寝癖もそこそこに家から2分のファミマで飯を買う。朝昼飯を食べた後は4時間ほど昼寝をして、にじさんじ所属のバーチャルライバー、エクス・アルビオを観て眠る。
以上が要約もまとめもしていない、ここ最近の僕の全てだ。
なんて最低な日々。
でもね、こんな僕にも天使が訪れたんだ。
それは向かいのファミマで働く、たまえちゃんだった。
漢字はわからない。ただ、たまえとだけネームプレートが書いてあるのだから、たまえったらたまえなんだ。
始まりは、昨日。
20日目のコンビニ飯を買いに行ったときのことだ。
いつものようにこだわりカレーと、いちごオレを持ってレジに行くと、あの!あの!(最高にぷりちいな)たまえちゃんから声がかけられた。
「そんなに同じものばっかり食べて飽きないのですか?」
「あ、あ、あ、え、と、まあ、そうですね」
たまえちゃんの年齢は20代前半くらいで、黒のツインテールをしているちょいあざと系の人だった。たまらず壁を張っちゃったけど、顔はにやけていたと思う。ぶりっこは嫌いじゃない、むしろ好きだ。
「もしよかったら、何か健康的なご飯でも作りに行ってあげましょうか?」
「え、そんな、いいんですか?」
「はい、この後すぐ上がりなので、後少しだけ待っていたください」
たまえちゃんは、お釣りを渡した後に僕の顔を見て「またね」と言った。ね、のイントネーションは上がっていた。好意的なあの、あの(最高にぷりちいな)ね、だった。
そのときのたまえちゃんの後ろには天使の羽生えていて、後光もきっと射していたと思う。
なぜ断らなかったんだろう。いや、断らなかった俺グッジョブ!なんて頭をグルグルさせながらコンビニの前で待っていると、私服姿のたまえちゃんが僕の目の前に来て、突然頬にチュッ❤️をしてこう言ったんだ。
「ずっと前から好きでした」ってね。
そして2人は永遠に結ばれたとさ。
らぶ、らぶ。
ー後書きのようなものー
ああ、そうさ。
当然、全て妄想だし、たまえちゃんなんていない。
ただ、僕の不健康に唯一気付けるのはコンビニの店員さんくらいなもので、もしも僕が何か事件を起こしたとしたら、警察はきっとコンビニの店員さんとかに話を聞くんだろうなと思う。
世の中の孤独なひとのSOSに唯一気付けるのって案外コンビニやスーパーの店員さんで、少しでも見られていると思えるそんな相手にどこか期待をしてしまう自分がいる。
だから全然知らない相手に妄想なんてしてしまうし、好きにまでなってしまうのかなあということを今になって知った。
2年くらい前に演じた、引きこもりの高校生は、よく行くコンビニ店員のことが好きだったんだけど、きっとこういうことだったのかもしれないなあと今更気付いた。
こうやって後から役の気持ちがわかることってよくあって、その度に演劇をやっていてよかったなと思う。
そんな童貞の物語。
(かっこよく締めると、妄想キモ!という評価を覆せる説あるよね)