思春期と倦怠期

書きたいことを書くだけ!

天使と髭男

(ピンポンパンポーン。整理せずに脳内のまま書いております)

 

 

昔々あるところに、髭が濃い夫と天使見習いの妻がいました。

 

天使の妻は、天使修行の一環で、本当の愛を知るために下界におりました。

 

だから、下界に降りてすぐに、家がない私を拾ってくれた男と、とりま結婚したのですが、正直、全然欲情もときめきもしません。

でも、これは修行の一環!

天使はいい妻であり、愛を知っているかのように振る舞います。

 

「あー、いとしの天使ちゃん! 今日はマカロニグラタンを作ったよー」

「あーいとしの髭だんディズむさん、ありがたき幸せ、ラブリーチュッチュ!」

 

見ての通り、髭男は天使にぞっこんなもんで、余計に愛を演じる必要がありました。

 

そして一年の月日が経ちそうになったとき、天使ちゃんはアルバイト中に高収入、高身長イケメンと出会います。

 

「ご一緒にポテトはいかがですか?」

「やあハニー、スマイルくれるかい? 僕は君が欲しいのさ」

「ラブズッキュン!」

 

その後、ラブホで寝ました。イケメンは夫と違って上手でした。まさに最高の男!

それは天使ちゃんがずっと探し求めていた本当の愛でした。

 

「天界神様あああああああああ、これが本当の愛ですねえええええ。私、もう分かっちゃいましたよおおおおお。あんあん!」

 

はい、修行終了。

でも、残念。修行が終わるということは、イケメンともお別れになります。それはなんて悲しいこと。だから天使ちゃんは上には報告しないまま、イケメンとのデートを重ねました。

 

「待てよーーー」

「またないよーーー」

「ぎゅ」「ん」

「うふうふふ」

「あははははは」

 

海の上。ああ真夏のジャンボリー。

 

 

「私、夫とは別れようと思っているの」

「え? それって浮気じゃん」

 

天界には帰れないものの、どこかモヤモヤとしていた私は、親友のチョコりーなに相談しました。

 

「え、でも、本当の愛はあのイケメンにあるの。だから、しょうがなくない?」

「はい、不貞行為。慰謝料請求されるやつ〜。それは偽物の愛です。本当は夫。だって結婚してるんでしょ?」

「だからその結婚をやめようとしているんだよ」

 

チョコりーなちゃんはいいこ、いい子。可愛いから何を言われても許せるから相談相手としては最適です。でも、こんな可愛いくて全てを手にしているようなやつの言葉なんかに耳を貸したくはありません。

相談しておいてアドバイスは全て却下します。それが美人への復讐だ!

 

「おーい、いとしの天使ちゃん! 今日はポテトエッグを作ったよー」

「料理はうまい。だが、愛はない」

ツンデレもいいね! 可愛いね!」

「キモ」

 

夫婦関係はもう冷めきっています。これのどこが本当の愛でしょうか。

 

「ねえ、髭ダンディズムさん」

「なんだい、マイホーップ」

「別れましょう」

「慰謝料を請求します。君、浮気してたよね? 許せない!」

 

なんやかんやあって慰謝料何百万くらい請求されました。

 

ってことをイケメンにも話したら、

「そんなお金払えないよ。このままだと僕まで巻き込まれてしまう。 これで、ん、グッバイ!だね」

「辛いけど否めない」

 

こうして天使ちゃんは全てを失いました。

 

「天使ちゃんよ。そろそろ本当の愛とやらは分かったのか」

「わかりませんよ、天界神さま。本当の愛に本能のままに従ったのに、どうしてこんなことになるの? 愛って辛いだけなの? それが愛なの?」

「否めない」

「じゃあ本当の愛ってわかった。辛いことなんだ!」

「でも、それだけでもないだろ? これを見るんだ」

 

「あんあん」

「はあ、はあ」

 

「やめろ、なんてもんを見せてるんだ」

「これもまた愛。欲情も楽しさもあっただろ。それも含めて愛なんだよ」

「それ、知ってるよ。今時、ラブソングってそんなことばっかり言ってるもん」

 

「はあ、傷つかないようにしてやったのに、お前は本当馬鹿だなあ」

「何よ、何が馬鹿なのよ!」

「じゃあ、いうぞ。お前はまず、好きじゃない男と結婚したのがばか。続かないと知っていたなら、結婚すべきじゃない。だから慰謝料まで取られたんだ。次に、本当の愛とか言って本王ままに従いすぎたのものばか、いい感じに話をまとめる交渉テクニックさえあれば回避できた。次に、正直に人に打ち明けすぎたのもばか。チョコりーなが浮気の事実を夫に伝えてたぞ、だから浮気がバレて証拠も揃えられて、こうなったんだ。てかそもそもがちょろすぎるんだよな。イケメンの誘い文句に乗りすぎだろ。あんなのヤリモクだjk。もっと頭をよくしろ、理性的の制御しろ。いいか、本当の愛ってのは存在しないんだよ。愛ってのは、交渉テクニック、自信、嫉妬、褒め言葉のレパートリー、恥ずかしさ、性欲、損得勘定、そういう全部がまとまってできてるもんなんだよ。サラダボールとまで言われたアメリカみたいなもんなんだよ愛ってのはな!!!」

 

「ぴえん、そんなにたくさん考えられないよ」

「そうだ、その通り! だから本能のままに従え! 血迷え! 一緒に迷走してもいい人を愛せ」

「そう! だから私はイケメンと! って、あれ? 一周回りました?」

「お前の敗因はチョロさだよ」

「ぴ、ぴ、ぴ、ぴええええええる瀧」

 

こうして愛から逃げた天使ちゃんは薬物と少女漫画にハマり、リアルを捨てたのでした。

 

「風早くんが足りないよーーーーー!! ハーー、匂い嗅ぎてえええええええええ。スーーーはああああああ、あーキマるぜ」

 

お、わ、り

 

ん、グッバイ!