思春期と倦怠期

書きたいことを書くだけ!

オタクになれない私たち

あなたは何が好きなの?

 

と聞かれた時に即答するのは難しい。

迷った挙句、適当に映画とかゲームとか言って相手の興味が失せるまでやり過ごすのがいつものこと。

映画も観るし演劇はやってたし、本を読むのも好きだけど、〇〇オタクと呼べるようなものは私には1つもない。

 

推しが尊い。とイベントに行ったり、ツイッターでわーきゃーやっている人たちを見ていつも羨ましく思う。

僕もあんな風に何か好きなものに全力になれたらいいのに。

 

どうして僕はオタクになれないのだろう。熱狂できないのだろう。改めて考えてみると3つのことがわかった。

 

まず、1つめ。僕は極端に飽き性だ。中学生の頃はシンガーソングライターになりたくてギターも買った。20歳になって開けるはずだったタイムカプセルの中にもその夢が語られている。でもまあ、カプセルが今も地面に埋もれたままであるように、僕の気持ちも消えていった。そこそこ練習もしたけど、だんだんと成功イメージが浮かばなくなっていったというか。何かに憧れ続けるほどの体力が僕にはないんだと思う。

 

次に2つめ。僕は、好きになることを極端に恐れている。ソーシャルゲーム1つ取ってもそうだ。アニメもドラマもそう。何かに打ち込む時には何十時間も使う覚悟で臨んでしまうから、いつも選ぶ段階で怖気付く。ちょっといいなと思っても、でもそんなに時間が使えないしなあとブレーキがかかるんだよね。よく言えば慎重。悪く言えば優柔不断。そんなこんなで僕は何かにどっぷりとはまることができない。

 

そして3つめ。僕は夢の世界を信用できない。短編小説とか脚本とか書いといてなんだけど、空想上の何かに憧れを抱き続けるのはすごく怖いし虚しいように思えてしまう。それは叶わない恋に憧れているようなもので、永遠に届かないパラドクスのようなものを感じる。夢には必ず終わりが来る。終わりに耐えられるほどのメンタルが僕にはないんだと思う。

 

以上が僕がオタクになれない理由。

そうか、そんな君ならそのままでいて。ありのーままのーってスタンスでいればいればいいんだよ。って脳内の美少女は僕に囁くんだけど、どうにもオタクへの憧れは消えない。

だって、どこいっても何かに詳しい人がすごいというか、輝いているんだもの。クリエイティブでイノベーティブなんだもん。ずるいやい。

 

知識も浅く好きがない僕は今の時代にとって、無個性でつまらないやつなんだろうなあと思う。人前に出るのが怖い。空っぽだって見抜かれるんじゃないかって。誰かに褒められてもその後に失望されるんじゃないかって恐怖が勝る。それ以上にほら。クソネガティブ。これもバレたらやだなあ、なんて思ってるとどんどん自分に嘘をつくようになっていって、自分の好きがわからなくなる。僕は本当はクラシック音楽とか、読書が好きなんじゃないか?その方がモテそうだし?って思考回路が知らんうちに繰り広げられる。さあ、今日も元気に自己啓発!ってね。

 

きっと、同じ気持ちの人もいるはず。ね、わかるよね?

オタクになれない私たちはいったいこの先どうやって生きていけばいいんだろうか。他人の目が怖くて、嫉妬して、空っぽな私たちはどうやって心を満たしていこう。

 

僕もたくさんたくさん考えたんだけど、最近になって、今の僕たちに必要なのは、多分友達なんじゃないかって思ったんだよね。

確かに、友達や大切な誰かを好きになることはもっと、ずっと怖い。それは長い長い夢を、非日常を信じるってことだから。自分1人が好きでも成立しないものだから。

でも、ちょっと聞いてほしい。他人に語れるほどのオタクでない僕たちでも、小さな好き嫌いはきっとあるはずで、何に関心があるのかも違う。だから、ただそばにいて楽しめるような人がいればそれはすごく幸せなことだなって思わない?

空を見上げて、あの雲がクジラに見えるとか、うんちに見えるとかそんなことを語らうだけでいい。語ることも面白いことも求められない、暖かな空気に身を任せて小さなことに笑い合う。なんの特技も知識もないけれど、そんな幸せを噛みしめるくらいは許されてもいいよね。

 

わかってるよ。友達を見つけるのは難しい。俺もぼっちの1人だ。もう何日家族以外の人と喋っていないと思っているんだい?悲しくなるから言わないけど。

 

だから、そう。まずは僕が友達になるよ。いや、上から目線だな。友達になってくださいというべきか。

君が笑えるように、まずは僕の感じる世界を思い切り描くからさ。君はそれに共感したり、反論してくれよ。少しずつでいい。遠くへ行こう。

僕は来年、ノベルゲームを作る。シナリオはまだ煮詰め中だ。ごめんよ。でも、きっと出す。

今日から僕たちは世界に小さな穴を掘って覗き見をしあう共犯の中だ。偉そうなやつをこっそりおちょくってやろう。皮肉ってやろう。さいっこうに性格が良いやつだって、嫉妬の炎で焼いてやろう。こっそりね。

 

これから僕は頑張って本当の自分に向き合うようにするからさ。一緒に嘘を溶かしていこう。これから作るゲームの世界はオープンだ。夢の中だけど夢じゃない。言葉が僕らを繋いでくれる。

オタクになれない私たちの些細な、小さな反逆だ。

 

 

いたずらしようぜ、インキャども。

しばし待たれよ。好きっていうか、ニヤニヤできるもん作るからよ!