ドラム缶の上にあるミカン
ドラム缶に埋められた。
俺はもうすぐ死ぬみたいだ。
ヤクザなんかやるんじゃなかった。てか、なんで金なんて盗もうとしちゃったんだろ。
なんかいける気がしたんだよな。
あれ?これ盗めんじゃね?って思ったら、その仮説を立証したくなるやん。俺根っからの科学者体質やねん。
まあ、結果、仮説は立証ならず。俺は死ぬ運命にあるんだけどね。
あ、なんかゴンっつった。トラックの荷台に乗せられてたわけだけど、海に着いたのかな。
あ〜傾いてるね。横向きで運ばれてますわ。これ。
このままポイってか。今だけ体重2トンくらいになんねーかな。押し潰してぇ。
あれ?動きが止まった。いよいよ準備完了ってか?
なんか儀式始まるんか?
ん?てかなんかくさくね?ワキガか?
いや違う。これ、煙?アッツ!!!!!!
オイオイオイオイ、マジかよ。火かよ!火炙りかよ!
海に流すだろ普通。それ覚悟してたのに、なんで熱いほうきちゃうんだよ。
てかお前ら笑うんじゃねえよ!何が楽しいんだよ、人があぶられてるってのに!!!!
確かに俺も悪かったけどさ。それ見て笑うお前らもよっぽどいかれてっからな!
このやくざ界隈では俺が異端でも、他から見たらお前らの方がよっぽど異端の屑のうんこやろうだ!俺の方うえ〜!
いや、もうなんでもいいから考えてないと、アッツ!!!あああ。焼き殺されちゃう。
とうもロコし、おそロシア、何でもかんでもみんな〜踊りを踊って、アッツ!!!
「美しく最後を飾り付ける暇があるなら。美しく最後まで生きようじゃねえか」
銀さんの言葉がふと頭をよぎる。
俺もこう言う台詞みたいに、いざと言うときに人の心に残る言葉を言いたかったぜ。
走馬灯が見える。
じっちゃんばあちゃん。
母ちゃん、弟。
今行くよ…。
ヤクザ、逝きまーす!!!!!